育った環境や教えてもらった時のやり方、特に料理の仕方は各家庭、学校や
習い事の先生によって変わる事が多くなります。
その中でも「肉を洗う」「肉を洗わない」には、ミンチ肉や細切れの洗いにくい肉
以外の物、塊や大きな物、洗いやすい肉の場合自分でやる時とは処理の仕方が違う
事があり戸惑う場合があります。
目次
肉を洗うには
肉を洗う場合衛生面から、調理法として洗う場合があります。
衛生面から洗う理由には
「誰が触っているかわからない」
「何か付いているかもしれない」
「何か付いている」
肉の処理をする時にたくさんの人達が触っている可能性があり、手には様々な菌が
ある事からその事を考えると洗ってしまう場合があります。
◎手の菌
日本ではスーパー、百貨店、大手メーカー等、食品を扱う場所では食品衛生法だけ
ではなく、各都道府県別にも様々な決まりがあります。
肉を処理する時には手でそのまま処理をする事は少なく、ほとんどの場合調理用・
処理用の手袋をして処理をしていたり、手袋をする前には手洗いも徹底しています。
手洗いの場合は水洗いだけではなく、石鹸で30秒から1分細かい部分まで洗いその後
にアルコール消毒をする、石鹸の種類には食品を扱う事に適した石鹸である事も条
件になっています。
この方法は衛生的に一番良い状態の手洗いになり、手には体に何か影響を及ぼす菌
はほとんど残っていません。
肉に付いている物
肉を処理している時にいつの間にか付いているかもしれない物、目に見えない物に
は菌であったり、見える物には肉から出てくる血や処理する時についた羽や毛等が
あります。
◎菌
生肉にある食中毒を起こしてしまう菌には
腸管出血性大腸菌(O157)
カンピロバクター
サルモネラ属菌
生豚レバーにはE型肝炎ウイルス、加工した食品中の肉にはウェルシュ菌等があり
ます。
これらの菌は牛・鶏・豚・羊等の主に消化管内になる腸に存在している菌になる事
から肉にすでにある、肉が持っている菌になります。
販売するために肉を切って加工する時に肉にどうしても付いてしまい、水で表面を
洗ったからと言って肉のすべての菌を無くす事は出来ません。
二次感染
食中毒にならないように肉を洗う事で
▪菌を増殖させる
▪菌を移動させる
飛び散った水はシンク(流し)や蛇口、包丁やまな板、スポンジ等時には飛び散っ
た水が口の周りに付いてしまう事もあり、菌が体に入りやすい状況を作る事の方が
多くなります。
日本以外の国で販売されている肉の処理の仕方はおおらかな事が多く、調理をする
前に肉を洗う事が多いようです。その場合肉の菌を取ると言うより、血等の汚れや
においを取るために洗う事になります。
海外でも肉を洗う事については二次感染の方が重要な事とし、英国政府管下の
食品基準庁では鶏肉に多いカンピロバクター、アメリカでは菌全般から肉を洗わない
ように注意を呼び掛けています。
食の安全、を科学する - 食品安全委員会
「英国食品基準庁(FSA)、カンピロバクター汚染防止のため、生の鶏肉を洗浄しないよう注意喚起」
住んでいる国によって肉の扱いは違うので、日本ではない場所で肉を扱う場合には
調べる事をおすすめします。
菌を無くすには「加熱」
腸管出血性大腸菌(O157):牛肉・牛レバー
カンピロバクター:鶏肉
サルモネラ属菌:鶏肉・卵の黄身、牛レバー
各菌では特に見つかる事が多く、家庭でも起る身近な食中毒です。
症状には
腸管出血性大腸菌(O157):軽度~激しい腹痛 発熱
カンピロバクター:軽度~激しい腹痛 下痢 発熱 倦怠感 頭痛 めまい
サルモネラ属菌:激しい腹痛 下痢 発熱 嘔吐
家庭で起る場合人数が少ないため風邪等の食中毒とは違う病気だと思ってしまう事も
多くなります。
これらの菌はじゅうぶんに加熱する事でほとんど死滅します。
例え手の菌が肉に付いていたとしても手の菌も加熱する事で死滅します。
腸管出血性大腸菌(O157):75℃ 1分以上
カンピロバクター:75℃ 1分以上
サルモネラ属菌:65℃ 数分
じゅうぶんに加熱しているかどうか見分けるには、肉の中心の部分が生の肉の
ような色、ピンク色になっていない状態になります。
白くなる、焼いた肉の色(茶色)になっていると食中毒を起こさない、
菌が死滅している状態です。
食中毒等の菌を心配してする場合
腸管出血性大腸菌(O157)・カンピロバクター・サルモネラ属菌では
一番の消毒は「加熱」です。
◎保存する時の注意点
菌が増殖しやすい、好む環境を避ける事もとても重要です。
腸管出血性大腸菌(O157):8℃~44~45℃
カンピロバクター:31℃~46℃
サルモネラ属菌:30~40℃
腸管出血性大腸菌(O157)は37℃で増殖しやすく10℃以下でも増殖する場合もあり
ます。カンピロバクターは42℃、サルモネラ属菌は37℃~40℃で増殖しやすくなり
ます。カンピロバクターは少ない酸素の場所も好みます。
新鮮な状態で新鮮な物を食べる事が一番大切になり、保存する場合は10度以下で
保存するようにします。食中毒や菌が理由で肉を洗う事は菌の増殖につながります。
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肉を扱う時には
生肉を使う場合は料理の順番も大切です。
生肉を切って、その後水でさっと洗っただけの包丁やまな板、手を使い加熱せずに
食べる物、サラダやそのままお菓子等触り口の中に入れてしまうと菌が体内入りやす
くなります。
生肉を扱う場合は生で食べる食べ物サラダ等を用意し、次に加熱する料理や生肉を扱
う事が重要です。
肉にある汚れ
肉から出てくるタンパク質や水分、血等のドリップと呼ばれる液体、処理の時に残
ってしまった羽や毛、思わず洗い流したくなります。
洗い流す事で肉にある菌を撒き散らす原因を作ってしまうので、キッチンペーパー
等で拭いて綺麗にします。拭いたキッチンペーパはどこかに置くのではなく、すぐに
ゴミ箱に捨てるようにします。
◎肉を購入する時は
▪肉から出てくるタンパク質や水分、血等のドリップ
▪羽や毛
少ない物を選ぶようにします。ドリップが多く出ている物は鮮度が落ちている場合
もあります。
調理法として
肉を水で洗うと美味しくなる、美味しくするために肉を洗う場合があります。
実際は肉を水で洗う事で肉を美味しくする事はなく、肉の旨みを洗い流す事になり
形崩れがおきやすく、水っぽくなります。
鶏肉の場合水で洗う事で臭いを抑える事が出来たり、ドリップを発生させにくくす
る事ができ鶏肉を長く保存出来ます。水で処理をする場合は処理後のシンク(流し)
蛇口、包丁やまな板をしっかり洗う事を忘れないようにして下さい。
肉を洗う習慣がない家で育った事、調理実習の時にも肉を洗った事がなかった事で
肉はパックから出して調理していました。ある時アメリカのお友達の家に行った時に
肉を洗っていた事に軽い衝撃を受けました。
私は今まで何をしていたのか!家族は大丈夫だったのか?
海外と日本では明らかに売られている肉の様子が違う事に気づき、日本にいる友達や
インターネット等で調べてみると同じ思いの人が多く、国でも注意を呼び掛けている
程の重要な項目でもありました。
念の為友達にも「肉を洗う」事について情報をメールしました。
今度は友達が私と同じ気持ちになったようです。
清潔にしている事が真逆になっていた事のショックは大きかったはずです。