やっと桜が咲きはじめ、週末に桜を見に行く予定をいれていると必ずやって来る
突風や大雨。春は天候や気温の変化が激しい事から、桜と風、大雨はほとんど
セットになっているようにも感じます。
桜が満開の時に起る事が多い激しい風と雨で桜が散ってしまい、散った桜が水の上
に帯のように浮かび流れる姿を筏(いかだ)にみたて「花筏(はないかだ)」と
呼ばれています。
帯のように浮かび流れる姿を筏(いかだ)の様子以外には
花の枝を折り、筏(いかだ)に添えた
筏(いかだ)に花びらが散り、落ちている様子やその花びら
これらも「花筏(はないかだ)」と呼ばれています。
安土桃山時代の蒔絵(まきえ)には花筏蒔絵(まきえ)として
桜の花が散って川を流れる様子が描かれていた資料が残されています。
桜の花びらを筏(いかだ)に見立てて呼ぶ以外に、植物でも花筏(はないかだ)は
ありました。
植物「花筏(はないかだ)」
▪ 落葉低木
▪ 開花時期:4月~6月
▪ 原産国:日本
とても珍しい植物になり、あまりみかける事はありませんが
茶花としても利用されます。
春に葉の中心に花を付け、夏にその花が黒っぽい実になります。
葉を「筏(いかだ)」花を「人」にみたてその姿から「花筏(はないかだ)」
と呼ばれるようになりました。
別名
花筏(はないかだ)の別名はヨメノナミダ(嫁の涙)と言います。
ヨメノナミダ(嫁の涙)と言われるようになった理由には物語がありました。
ある若嫁が殿様の使いから
「葉に実のなる木を見つけてほしい」と言う命令を受けました。
夜も更ける頃まで山の中を探しまわったのですが
見つける事が出来ませんでした。
その時に流した悔し涙が葉に落ち、月の光で黒真珠のように輝き
それが花筏(はないかだ)の果実になったと言われました。
ヨメノナミダ(嫁の涙)の他にもママッコ(飯子)・ママコナ(飯子菜)とも
言われいます。ママッコ(飯子)・ママコナ(飯子菜)とも呼ばれるように
なったのは
嫁が姑に辛い思いをさせられ、山の中で流した涙が
花筏(はないかだ)の葉に落ち花になった
継母が煎っている豆をせがむ継子の手のひらに
煎ったばかりの豆を乗せて出来た火傷の火ぶくれ
火傷の火ぶくれを葉の上に出来た黒っぽい実と合わせて呼ばれるようになります。
花言葉
花筏(はないかだ)はその姿や使われる物語には、春の雰囲気とは少し離れた事が使
われている事から
別名の名前がそのまま付いた「嫁の涙」
葉の上に花が咲く姿から「気高い人」
そして「移り気」
花筏には
「川を流れる桜の花びらの様子」
「筏に添えた花」
「筏に落ちる花びら」
「花筏と言う植物」
筏の様子から名前がつけられています。
少し切ない意味になる花言葉や個性的な姿から、身近で見る事は
少ないのかもしれません。