「筍」「竹の子」はどちらも「たけのこ」と読み、両方とも竹の若芽の事をいうの
ですが、竹の若芽の成長具合によって文字にすると違う場合があります。
「筍」「竹の子」の違い
筍という場合には食べる事ができ、食べる事ができる期間がある事から
時期の意味になる「旬」が合わさって竹冠に旬と書き「筍(たけのこ)」と
表記するようになります。
竹は成長が早く新しい芽が出てから数カ月でとても大きな竹に成長します。
竹の種類によっては1日で120cm成長したと言う記録もあります。
一般的に「旬」は1ヶ月を3つに分けた事初旬、中旬、下旬、10日でひとめぐりの事
を言います。竹の目を見張る早い成長と目が出てから10日までが美味しい、食べ頃
になる事から旬が使われるようになります。
食べる事ができる旬の食べ物「筍」
旬が過ぎた10日を過ぎた食べる事ができなくなると「竹の子」
となることが多いようです。
この時期だからこそ食べることができる、季節を感じる「筍」も「竹の子」も
どちらも竹の子供になり、どちらを使っても間違いではなく
たけのこ、タケノコ、竹の子、筍の表記について農林水産省に問い合わせをしてみ
ると基本的には特に決まりもないと言うことです。
市場に並ぶ筍の旬は4月~5月
筍の旬は南から北へと移動します。九州地方の3月頃から4月から5月をかけて北上します。
桜前線の後1週間から10日後に筍の旬が訪れる事から「筍前線」とも呼ばれています。
たけのこの種類
竹は日本では約600種類、世界では約1200種類ほどあると言う事です。その中でも
一般的に食べられている筍の種類には
孟宗竹(もうそうちく)
お店で売られている筍のほとんどは孟宗竹(もうそうちく)
孟宗竹(もうそうちく)は中国原産になり、江戸時代になる1736年頃に日本中に伝
わります。
白く太くて柔らかい
えぐみが少ない
甘みがある
香りが良い
なかでも京都産の孟宗竹(もうそうちく)の味の良さには定評があります。
竹取り物語のモデルの地と呼ばれている京都市西京区大枝、大原、洛西地区
は筍の名産地と知られています。
京都府長岡京市には「孟宗竹発祥之地」として石碑が立てられています。
なぜ京都が一番美味しい筍なのかと言うと筍が育つ「土壌」
酸性土壌で粘土質の土壌が筍に最適だと言う事と丁寧で細やかな手入れにあると言う
事です。
収穫時期は3月から5月中旬
淡竹(はちく)
中国原産になり九州、関西に多い竹です。
孟宗竹(もうそうちく)より細い
少し固い
あくが少ない
甘さ、苦味が少ない
味は淡白
淡竹(はちく)は地上に出てから収穫され、一般に市場に出る事はあまりありませんが
インターネット等でも購入する事ができます。
収穫時期は4月中旬から5月 孟宗竹(もうそうちく)の後に収穫されます。
真竹・苦竹(まだけ)
真竹(まだけ)は中国原産や日本原産とも言われています。関西、特に京都に多い
種類です。日本最古の書記「古事記」に書かれている筍は真竹(まだけ)だとされて
います。
少し固い
味が良い
あくが強い
少し苦い
少し苦味がある事から「苦竹」とも言われるようになったと言う事です。
収穫時期は5月から6月中旬
根曲がり竹(ねまがり)
原産国は日本、山陰地方・信越。東北地方、北海道が主な産地です。
信越から東北では「根曲がり竹(ねまがり)」
山陰地方では「姫竹(ひめたけ)」
山形県の月山周辺では「月山竹」「月山筍」
地域で呼び方事なり、五三竹(ごさんちく)千島笹(ちしまざさ)篠竹(すすだけ)
とも呼ばれています。
孟宗竹(もうそうちく)よりとても小さく細い
歯触りが良い
香りが良い
えぐみがない
あくが少ない
収穫時期は5月中旬から5月、市場に出るのは5月から6月頃です。
寒山竹(かんざんちく)
原産国は中国、日本では関西から西で多くなります。特に九州南部では良く食べ
られています。
大名竹・大明竹(だいみょうちく)とも言われ
これを食べた殿様が「これはうまい」と太鼓判を押した事から
大名竹(大明竹)と言われるようになります。
生で食べられるくらい柔らかい
歯ごたえがある
収穫時期は7月から8月中旬
味の美味しさは筍の中で一番だと言われています。
布袋竹(ほていちく)
原産国は中国、世界各地にあります。乾燥させると折れにく事から釣り竿等に
利用されています。
少し細め
素朴・淡白な味
あくはない
収穫時期は6月頃
味は淡竹(はちく)と似ていると言われ、淡竹(はちく)と真竹(まだけ)の
間に収穫できます。
時 期 | |
孟宗竹(もうそうちく) | 3月~5月中旬 |
淡竹(はちく) | 4月中旬から5月 |
真竹・苦竹(まだけ) | 5月から6月中旬 |
根曲がり竹(ねまがり) | 5月中旬から5月 |
寒山竹(かんざんちく) | 7月から8月中旬 |
布袋竹(ほていちく) | 6月頃 |
筍の収穫
まだ竹の子のではない、10日までの筍を見分けるには
筍は地下茎の節から芽が出て成長します。地下茎の野菜にはじゃがいもやさつま芋
があります。
じゃがいもやさつま芋を掘り起こすように、筍も地下の中で成長している事から地上
に筍が見えた大きさより、筍は大きく成長しています。
地上に見えている場合は約5cmまで、それ以上になると食べる事だできない
竹の子になります。
美味しい筍
・土が割れている所にある筍
・土が硬くなっている所にある筍
地上に見えている場合
・鶏のとさかのような物が黄色
・とさかが大きい物
とさかが緑色だからと言って美味しくないと言うのではなく、黄色い物は柔らかく
味が良い筍で「めだけ」と呼ばれています。
とさかが大きい物は太くて立派な筍です。
朝掘りたけのこ
筍は夜の間に栄養や水分をたくさん吸い上げ、朝になってから成長する性質があり
ます。成長したての筍は香りも良く、味も一段と美味しいと言われています。
筍の一番良いタイミングで掘る事を「朝掘りたけのこ」と言います。
夜明け前に筍があるであろう場所に行き、地上に現れる前の筍の土のひび割れを探
し掘ります。上手に掘る事ができるまで5年はかかるくらい難しいと言う事です。
お店で筍を選ぶ時
筍は新鮮さがとても大切です。
皮に艶、色は薄茶色
産毛がそろっている
節目は狭い
切り口はみずみずしい
根元の粒々は小さく少ない
とさかの色は黄色や開いていない
ずっしり重い
お店で売られている筍はほとんどの場合「孟宗竹(もうそうちく)」
孟宗竹(もうそうちく)を選ぶ時は形は釣鐘型、外皮は茶色でしっとりとして
毛羽立っている、根元の赤い粒々は小さく少ない、これらの事も加えて選んでみて
下さいね。