行事

七夕の飾りの意味と5色の短冊とは

2015年3月28日

七夕の時期になるとお店や街の中ではイベントで短冊にお願い事を書ける
コーナーあり、思わず足を止めて真剣に願い事を書きしっかり笹に飾って
安心してしる自分がいたりします。

七夕はロマンティックなイメージがあるので、七夕のお願い事も恋愛にまつ
わることに感じますが、もともとは恋愛よりも身近な願い事が多くなります。

恋愛のイメージがある七夕ですが、身近なお願い事には七夕にお願い事を
する意味や由来につながります。

「なぜ七夕に飾りをするのか?」
「なぜ七夕にお願い事をするのか?」
「なぜ短冊にお願い事を書くのか?」

笹に飾りをしてお願い事をするようになった由来や飾りの意味を把握すると
より一層七夕に意味を持たせ行う事ができます。

七夕の「飾り」「願い事」

日本では昔から季節の節目に行う年中行事がありました。
その年中行事を公的な行事、国が定めた行事としたのが江戸時代
その中に「七夕」があります。

現在のような七夕になるまでには「日本のお盆の習慣」「日本と中国の物語」
これらの事から笹・飾り・願い事が加わり「七夕」になります

七夕とお盆

今では「七夕」は単独の行事になっているのですが、もともと七夕はお盆の期間の
ひとつとして行われていました。

日本のお盆は旧暦の7月15日前後で行う地域、新暦の8月15日前後で行う地域とわか
れているのですが、旧暦だった頃お盆は準備・お盆・終わりと約1カ月の期間を
お盆の期間として旧暦の7月を「盆月」としていました。

盆の始まり「盆入り」は7月1日~7月7日に行われる事が多く、7月7日の七夕は
盆入り、盆が始まると言う意味があったと言う事です。お盆の時には先祖の精霊を
お迎えするための「精霊棚(しょうりょうだな)」を用意します。

日本と中国の物語

日本最古の書物「古事記」にも登場する「棚機津女(たなばたつめ)」
水の神が降りて来る川・海・池等の場所に水の神様に捧げる神聖な布を織る
穢れのない女性の物語。

水の神様に神聖な布を捧げる事で村の災厄を取り除く、穢れを払ってもらい
秋の豊作を願い行います。

そして棚機津女(たなばたつめ)はお盆の前に先祖の精霊や外からの神様を
水のほとりでお迎えするために機で織って待っていた様子を神格化したもの
になり、古くから存在しています。

日本で「七夕」は
 ・お盆入り
 ・災厄を取り除く、穢れを払う
 ・食物の成長に感謝し秋の収穫を願う
 ・先祖の精霊のお迎えの準備

中国の物語

「乞巧奠(きこうでん)」は巧「上達」乞「願う」奠「供えて祭る」日になり
そして牽牛(けんぎゅう)と織女(しょくじょ)の伝説があります。

織女(しょくじょ)は織物や裁縫が大変に上手であった事から、針に五色の糸を通し
庭に酒肴や瓜を供えて「針の上達」をお願いします。
蜘蛛が瓜の上に蜘蛛の糸を張ればお願い事が叶うと言われています。
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日本の年中行事の習慣は中国から伝わるのですが、奈良時代に中国の七夕の習慣
「乞巧奠(きこうでん)」が日本に伝わり「願い事」が日本の七夕に加わります。

七夕は江戸時代までは貴族や宮中で行い日本では詩歌や裁縫の上達をお願いしながら
和歌をつづったと言う事です。

「平家物語」では貴族は願い事を梶(かじ)の葉に書いてたとあり
梶(かじ)の葉は紙の原料として使われ、葉は墨のなじみが良く書きやすかった
ようです。

詩歌や裁縫の上達の願い事は染織・美術・芸事・演芸などの技芸の上達もお願い
するようになります。
年中行事となった江戸時代には「手習いの願い事」として庶民まで広がります。

「手習い」になったのは、日本では裁縫の上達はあまり重要でなかった事と
江戸時代に寺子屋が増えた事から手習いごとの上達に関してのお願い事をするように
なります。

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短冊と願い事

もともと短冊はメモ用紙や歌会のくじ引き等に使われていたのですが、やがて短歌
や俳句などを書く時にも使われます。

江戸時代までの七夕では和歌をつづっていた事から、願い事を短冊に書くようにな
り、短冊が5色になのは乞巧奠(きこうでん)でも5色の糸を使っていたように
中国から伝わった思想「陰陽五行説」の5色が使われます。

5色には「青・赤(紅)・黄・白・黒」青は緑、黒は紫として使わる事もあります。

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5色の短冊にはお盆の時の施餓鬼法要で使われていた事も影響しています。
お盆には先祖の精霊を迎えるのですが、餓鬼と言われる亡者、鬼が一緒に付いて
くると言われています。

一緒に付いてきた餓鬼を成仏してもらうために5色の施餓鬼幡を飾っていました。
施餓鬼幡は餓鬼の目印となる布などに釈迦の名前を書いて餓鬼の供養をします。

お盆の時に行っていた七夕になる事から一緒に付いてくる餓鬼の成仏を願いながら
自分のお願い事をしたのかもしれません。

5色には方角・季節・星・五官などの他に五常(ごじょう)・五徳(ごとく)もあては
められています。

(東)/木/仁  :徳を積む・人間力を高める
(南)/火/礼  :父母や祖先への感謝の気持ち
(中央)/土/信 :信頼、知人・友人を大切にする
(西)/金/義  :義務や決まりを守る
(北)/水/智 :学業の向上
  Magic Wands引用→「七夕とは その3 短冊編」

その事から七夕のお願い事は五常(ごじょう)・五徳(ごとく)にそった
お願い事をすると良いとも言われています。

天の川と5色

七夕のと言えば「天の川」夜と星のイメージがあり夜空を表している意味には

:こと座のアルファ星、織姫の星
:さそり座のアンタレス星
:わし座のアルファ星、彦星の星 
:天の川の色
:夜空の色

7月7日前後の午後9時過ぎごろ東の空を見上げた時に、明るい星が2~3個あります。
その中に一番明るい星2個が「織姫と彦星」
北寄りで先に昇る方が「織姫」その間には天の川が流れています。

飾りの意味

七夕のお願い事は
 中国の「針の上達」「織女(しょくじょ)の5色の糸」
 日本での「手習いの上達」「食物へ感謝と豊作への願い」

主にこれらに関係している飾り、願いが込められている飾りが付けられます。

投網
網飾り
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豊年豊作
豊漁になりますように
食べ物に困りませんように
貝飾り tanabata kazari kai 2 海の恵みを受ける事が
できますように
巾着
財布
tanabata kintyaku お金が貯まりますように
屑籠 tanabata kuzukago 整理整頓
物を粗末にしませんように
吹き流し tanabata fukinagashi 織女のように織物や裁縫が
上手になりますように
紙衣 tanabata kamii 縫いの腕があがりますように
着る物に困りませんように
星飾り tanabata hosi 星に願いがかないますように
笹の葉 tanabata sasa 邪気から守ってくれますように
千羽鶴
折り鶴
tanabata turu 家族が長生きしますように
織姫
彦星
tanabata hime 二人のように
永遠の愛が続きますように

「投網」「貝飾り」は魚は貴重な食べ物になり、栄養であった事から豊漁のお願い
「屑籠」は飾りを作り終えて出た屑を屑籠の中に入れて飾りる事で、倹約の心を育てるように
します。

「吹き流し」は5色にすると魔除けの意味を持たせる事ができ
「紙衣」はかみご・かみごろも・かみきぬと言い、一番上に飾り災いを人形に移します。

「千羽鶴・折り鶴」は家族で一番年長になる人の数の鶴折り、延命長寿のお願い、そして鶴は
折り方を教わる、教える心を学びます。

その他には菱飾り・菱型つづり、星つづりは天の川をイメージして飾られています。
良く見る輪になった飾り「輪つなぎ」は、実は七夕には意味がない飾りのようです。
恐らく比較的作りやすく、見た目が華やかな事から使われたのかもしれません。

笹に飾るのは

日本では神事に笹や竹を用いてきました。
笹は生命力の強さ、殺菌や魔除けになると考えられまっすぐに成長する事から
先祖の霊や神様の依代(よりしろ)として用いていました。
  ※依代(よりしろ):神様を招き、つく物

神事の行事の脇には笹が飾り付けられます。
その笹には飾り付けはなかったのですが、七夕行事と重なった時に脇にあった
神様の依代(よりしろ)である笹を用いたと言われています。

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中国から伝わった七夕には「笹」「短冊」「飾り」はありません。
日本ではお盆と七夕が重なった事から、お盆の時に行う
精霊棚(しょうりょうだな)の「飾り」「笹」、特に「短冊」は七夕に影響を与え
ています。

お盆に願い事の習慣はないのですが、中国の「願い事」が加わり
旧暦から新暦になる事で「七夕」は独立した行事になります。

七夕のお願いは「感謝する気持ち」を基本に何かを与えてもらうと言うより
自分自身で自分を高める、成長する願い事をする方が叶いやすいのかも
しれません。

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