行事

冬至のかぼちゃ地域で違う?!かぼちゃレシピの違いには

2016年9月1日

冬至にかぼちゃを食べたい、かぼちゃ料理を用意しようと思った時に
ふと感じたのが「かぼちゃ料理、レシピは決まっているのか?」

日本の行事食、例えばお正月のおせち料理やお雑煮、桃の節句になるひな祭りの
ちらし寿司や蛤のお吸い物、七夕のそうめん、土用のうなぎ等
いつも何となく決まっています。

何となくは決まっているのですが地域で微妙に違い、冬至のかぼちゃも住んでいる
地域で違うのか?どんな食べ方をする方が良いのか気になります。

冬至のかぼちゃ地域での違い

かぼちゃ料理、レシピの代表は「かぼちゃの煮物」
かぼちゃだけで煮物にしたり、他の材料を加えて煮物にしたりする事が多く、
冬至にも「かぼちゃの煮物」を食べる事が多くなります。

冬至にかぼちゃ以外の食べ物に小豆粥もあり、小豆には邪気を祓うと言われて
いる事から冬至に邪気を祓い、翌日から良い運気を呼び込むために食べるように
なります。小豆はお粥にする以外小豆とかぼちゃを一緒に食べる地域もあります。

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冬至に限らずかぼちゃと小豆の料理は「いとこ煮」と言われて親しまれ、
いとこと呼ばれるのは材料を煮えていくものからおいおい(追々)入れる
「おいおい」と「甥(おい)甥(おい)=いとこ」をかけて呼ばれています。

「いとこ煮」は北陸(中部地方)、奈良県、山口県の萩の郷土料理の一つで
このいとこ煮は冬至には「冬至南瓜」「冬至かぼちゃ」「かぼちゃのいとこ煮」
と呼ばれいとこ煮が郷土料理になる北陸(中部地方)、奈良県でも冬至には
食べられています。

「かぼちゃのいとこ煮」「冬至南瓜」「冬至かぼちゃ」はかぼちゃの煮物の次に
食べられる事が多く北陸(中部地方)奈良県以外では

 東北地方:秋田県、山形県、宮城県、福島県
 関東地方:栃木県、神奈川県
 中部地方:新潟県、石川県、福井県
 近畿地方:京都府、大阪府

これらの地域でも「かぼちゃのいとこ煮」「冬至南瓜」「冬至かぼちゃ」が
食べられてます。
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「かぼちゃのいとこ煮」「冬至南瓜」「冬至かぼちゃ」をしるこのようにした
「かぼちゃしるこ」を冬至に食べる地域もあります。

北海道「かぼちゃしるこ」

北海道ではおしるこにかぼちゃを入れて食べる又はかぼちゃを茹でて団子にし
ておしるこに入れる「かぼちゃしるこ」を冬至に食べます。
  北海道のかぼちゃしるこのレシピ

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山口県はぜんざいにかぼちゃを入れて食べる事もあるようです。
山口県では冬至の日に何を食べるか
兵庫県でも家庭によってはかぼちゃしるこが食べられています。

そしてかぼちゃと小豆に小麦を練った物や団子を入れて冬至に食べられる地域も
あります。

岩手県「かぼちゃひっつみ」

岩手県ではかぼちゃと小豆、小麦を練り薄くちぎって茹でた物を入れて煮て作る
「かぼちゃひっつみ」を食べる事が多くなります。

家庭料理になるかぼちゃひっつみは一緒にさつま芋を入れたり、小豆を入れな
かったり、家庭によって作り方味付けは様々です。
  レシピ「ひっつみの冬至かぼちゃ

長野県「かぼちゃだんご」

長野県ではかぼちゃと小豆を甘く煮た所に、水で溶いた小麦粉を落として団子に
にした物で作る郷土料理「かぼちゃだんご」冬至には「冬至かぼちゃ」として
食べられます。レシピ「冬至に。松本地方かぼちゃ団子

岡山県「南京雑煮」

瀬戸内海では小豆とかぼちゃに小麦粉の団子・白玉団子・うどん・そうめんのどれ
かを入れる汁気の少ないどろとした「なんきん雑煮」「南京雑煮」を冬至に
食べられます。南瓜雑煮*冬至*郷土料理〈岡山県レシピ〉

「いとこ煮」「しるこ」以外の地域

冬至にかぼちゃや小豆は使うけれどいとこ煮やしるこ以外の地域もあります。

青森県「かぼちゃ粥」

青森県の上北・下北地方ではかぼちゃと小豆を使って作る「かぼちゃ粥」を
冬至に食べていたと東奥日報社刊の「青森県 暮らしの歳時記」に記載されて
います。冬至かぼちゃ粥レシピ

群馬県「冬至うどん」「こんにゃく」

群馬県は小麦の栽培が盛んな場所になるので冬至にもかぼちゃにうどん、こんにゃ
く入れて作られる「冬至うどん」が食べられます。冬至うどんレシピ

群馬県はこんにゃくの名産地、こんにゃくは1年間にたまった砂(体内の有害物質)
を体外に出してくれる「体の砂払い」と言われ「冬至、こんにゃく、砂払い」
と言う言葉もあります。

冬至には冬至うどんに入れたり、こんにゃくを甘辛く煮た物が食べられます。
  こんにゃくレシピ「冬至蒟蒻!甘辛煮☆お弁当にも♪

山梨県「かぼちゃほうとう」

ほうとうが郷土料理になる山梨県では冬至にはほうとうにかぼちゃを入れて
食べられます。かぼちゃほうとうレシピ

富山県「いとこ煮」

富山県では基本的には「いとこ煮」と呼ばれているのですが、かぼちゃと小豆が主
になる本来のいとこ煮ではなく、富山県の郷土料理大根、ごぼう、人参等をの
根菜類等の具を入れて作る煮物や汁物に小豆入れて冬至に食べられます。

筑前煮のように汁のない物やみそ汁のように汁が多い物、各家庭により作り方は
変わります。いとこ煮(富山)レシピ<

広島県「かぼちゃ汁」

広島県ではかぼちゃ、木綿豆腐、油揚げ、白みそ仕立ての「かぼちゃ汁」を冬至に
食べるとその冬は風邪を引かないと言われています。
 白花豆とお月様のかぼちゃ汁

「かぼちゃ」「小豆」ではない地域には

冬至にかぼちゃや小豆以外になる地域もあります。

鳥取県・島根県「豆腐めし」

鳥取県の中部では「豆腐めし」を冬至の前後に食べる習慣があります。とうふ飯に
は乾煎りした豆腐と山菜を炊き込みご飯にしたもの(別名「どんどろけめし」)と
さいの目に切った湯豆腐とだし汁をご飯にかけた物があります。

この「豆腐めし」は隣の島根県まで伝わり、島根でも冬至に「豆腐めし」を食べる
習慣があります。

「冬至そば」

岡山県と福島県の一部では「冬至そば」と言って冬至にそばを食べる習慣が残り、
神奈川県や香川県では「冬至そば」を「短そば」とも言い食べられます。

千葉県「そば稈の煙」

千葉県ではかぼちゃを食べてそば稈を焚き、焚いたそば稈の煙をかぐと
中風(脳卒中)かからないと言われています。

沖縄県「トゥンジージューシー」

沖縄県ではトゥンジー(冬至)にジューシー(炊込みご飯)を食べます。
沖縄の冬至には家族の健康を願う事と、子孫繁栄の願いも込められているので
子孫繁栄の意味がある里芋や田芋は必ず入ります。
  トゥンジージューシー☆沖縄冬至炊き込ご飯

その他の具は家庭で異なり、豚肉、しいたけ、にんじん、ひじき、かまぼこ
等を入れて作られます。

冬至祭、かぼちゃ供養

冬至にはお寺などでも冬至を行う場所があります。

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愛知県「かぼちゃしるこ」

愛知県にあるハズ観音・妙善寺(みょうぜんじ)では
「中風除け寺」「かぼちゃ寺」と呼ばれ親しまれ、毎年冬至には
「かぼちゃしるこ」がふるまわれます。

小豆の色ではなくかぼちゃの色が鮮やかで、よく見ると小豆も入っているのですが
かぼちゃの方がだいぶん多い汁粉です。
各家庭で作る時にはお餅や白玉団子を入れて食べる事が多いようです。

かぼちゃ寺と呼ばれる妙善寺(みょうぜんじ)にはあちらこちらに
かぼちゃが飾られています。

妙善寺(みょうぜんじ)がかぼちゃ寺になったのは、和尚さんが観音様に
「福徳をさずけるので浜にでてみよ」とお告げをもらい、寺の前の浜に出ると
たくさんのかぼちゃが流れついていたという事です。ハズ観音・妙善寺

京都「かぼちゃの煮物」

京都の不思議不動院(ふしぎふどういん)ではかぼちゃ供養が行われ、
「かぼちゃの接待」としてかぼちゃの煮物がふるまわれます。

「この弘法大師様が世の全て、生きとし生けるもの、迷い苦しんでいる人たち
をその境遇から救われ賜れ」と、不眠、断食、滝にうたれるなどの修行をし、
祈願をした」わかさ生活 京都の寺社仏閣引用

かぼちゃ供養が行われるようになったのは、ここにおられるかぼちゃ大師様が
きっかけになり、祈願が終わったお礼として冬至にかぼちゃを備え、参列者に
かぼちゃをふるまうようになったのが始まりだと言われています。

不思議不動院(ふしぎふどういん)のかぼちゃの接待は
12月の冬至の日(12月21日又は22日)の10:00~15:00
かぼちゃが無くなり次第終了になります。不思議不動院

奈良県「かぼちゃの精進料理」

奈良県の正暦寺(しょうりゃくじ)では冬至に「冬至祭(中風封じ祈祷)」
が行われ、祈祷したかぼちゃを使いかぼちゃづくしの精進料理が
ふるまわれます。なら旅ネット「冬至祭(中風封じ祈祷)

冬至にはかぼちゃに霊気が宿り、霊気が宿ったかぼちゃを食べる事で
中風(脳卒中)等の難病にかからないと言われ行われるようになります。

三重県「冬至ぜんざい」

三重県の伊勢市で行われる冬至祭ではしるこにかぼちゃが入っている
「冬至ぜんざい」がふるまわれます。
  伊勢市観光協会公式ホームページ「冬至祭

毎年冬至の前後に内宮の宇治橋大鳥居の真ん中辺りに朝日が昇ります。
その神秘的な朝日を見るためにたくさんの観光客が訪れる事で、これを観光資源と
なるように「冬至祭」が行われるようになります。

大阪「南瓜のいとこ煮」

大阪市西成区にあるこつま南瓜塚 生根神社(いくねじんじゃ)では
「こつま南瓜祭」が毎年冬至行われます。

ここでとれたこまつ南京を食べて江戸時代に起こった飢饉を乗り越える事が
できたので、人々はこまつ南京に感謝をしました。このこまつ南京は特産物
でもあり、古くから冬至にはこまつ南京が食べられるようになります。

1986年(昭和61年)には塚が作られ中風除け・ボケ封じ・無病息災祈願に
人々が訪れるようになり、冬至にはお祓いをしたかぼちゃに厄除けの意味を
持つ小豆をかけた「南京のいとこ煮」がふるまわれます。生根神社

福岡県「かぼちゃ料理」

福岡県の毘沙門天(びしゃもんてん)を祭っている勝立寺(しょうりゅうじ)
では約300年続く「冬至祈願祭」「かぼちゃ大祭り」が毎年冬至に行われ、
かぼちゃ料理約400食以上が用意されていると言う事です。
  
勝立寺でかぼちゃ大祭が行われるようになったのは

ある商人が商用に向かう途中に海難事故にあってしまい、その時にかぼちゃを持っ
た毘沙門天(びしゃもんてん)が現れ飢えをしのぐ事ができました。
博多に戻った商人はお礼をするために勝立寺(しょうりゅうじ)を建て、毘沙門天
(びしゃもんてん)を祭り命を救ってくれたかぼちゃをふるまうようになります。

お礼や感謝の気持ちを込めてかぼちゃがふるまわれた事で、冬至にかぼちゃ大祭が
行われるようになります。勝立寺

12月の冬至以外にかぼちゃ供養を行うお寺もあります。

◎京都「鈴虫寺」
鈴虫寺(すずむしでら)で有名な安楽寺「松虫鈴虫寺」(まつむしすずむしでら)
とも言われています。

安楽寺の住職が病気に悩む人達に心痛め本堂で修業をしていると
本尊の阿弥陀如来から
「夏の土用のころにカボチャを振舞えば中風にならない」

とお告げをもらいかぼちゃを仏前に備えるかぼちゃ供養をしたのは始まりです。
安楽寺でのかぼちゃ供養は7月25日「安楽寺

◎京都「矢田寺」
矢田寺(やたでら)では約20年前からかぼちゃ供養が行われ、奉納されたかぼちゃ
を撫でて中風除け(脳卒中)や諸病退散を祈願し、かぼちゃを食べると1年間無病
息災で過ごすことができると言われています。

矢田寺のかぼちゃ供養は12月23日「矢田寺
鈴虫寺、矢田寺ではかぼちゃだけの煮物がふるまわれます。

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江戸時代のかぼちゃ料理

冬至にかぼちゃを食べ始めたのは江戸時代頃。
江戸時代初期に書かれた「本草綱目(ほんぞうこうもく)」の中でかぼちゃは
「毒ありて人に益なし」とあり、食べるべき食べ物ではないとされていたので
食べる人は少なかったようです。

しかし食料の少ない冬の季節、保存する事ができる、値段の安いかぼちゃは
庶民の間で食べられるようになります。

現在スーパーなどで販売されているかぼちゃのほとんどは「西洋かぼちゃ」
色鮮やかでほくほくとしていて甘味が強くなります。

江戸時代のかぼちゃは「日本かぼちゃ」
甘味はあるのですが西洋かぼちゃ程はなく、淡泊ですが味が染み込みやすく
煮崩れがしくにく、現在でも日本料理には欠かす事ができないかぼちゃです。

江戸時代の料理法には日本かぼちゃの特徴を生かしやすい
「汁物」「田楽」「煮物」

江戸時代にも煮崩れがしにくい、味が染みやすいかぼちゃは煮て食べる方法が
多かったようです。

そしてお米が無くても具を多くして作る、おかずがなくてお腹を満たす事ができる
かぼちゃのお粥「なんきん粥」

江戸庶民の節約おかず番付と呼ばれる
「日々徳用倹約料理角力取組(ひびとくようけんやくようりすもうとりくみ)」
にもあるかぼちゃのみそ汁に擦ったごまを入れた「かぼちゃごま汁」

江戸時代の料理本「料理無言抄(りょうりむごんしょう)」では小豆と一緒に煮て
作る「かぼちゃのいとこ煮」が北陸地方で食べらたと書かれています。

砂糖が貴重なこの時代には甘さのあるさつまいもやかぼちゃ等の野菜は
とても人気がありました。

江戸の人情が感じられる古典落語「唐茄子屋政談」の噺(はなし)では
「唐茄子(とうなす)の安倍川」と言うかぼちゃのお菓子が出てきます。

安倍川とは砂金が取れる安倍川でのお菓子の事を呼んでいた事から
煮たり、蒸したかぼちゃにきな粉をかけたお菓子を言います。

唐茄子(とうなす)とはかぼちゃの事を指し、日本かぼちゃの事になります。
当時ひょうたんの形をしたかぼちゃが売られていた事から「唐茄子(とうなす)」
と呼ばれるようになります。

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江戸時代から食べられるかぼちゃ料理には
「かぼちゃの煮物」「なんきん粥」
「かぼちゃのみそ汁」「かぼちゃごま汁」「かぼちゃのいとこ煮」

冬至にもこれらのかぼちゃ料理を食べられた事で現在の冬至でも
シンプルにかぼちゃだけを煮物にする「かぼちゃの煮物」「かぼちゃの煮つけ」

江戸時代にも食べられた「かぼちゃのいとこ煮」は特に北陸で冬至にも食べられる
ようになる、かぼちゃと小豆を使い甘めに煮る、しるこのように食べる場所には
小豆の生産地、生産地近辺に多いように感じます。

かぼちゃを煮物にする時は、かぼちゃだけ煮る物の次にミンチ肉を加えてそぼろに
する「かぼちゃのそぼろ煮」が比較的多くなるようです。

そして女性が好む食べ物として食べられていたお菓子、スイーツになる
「唐茄子(とうなす)の安倍川」「かぼちゃの安倍川」は
冬至向きではなかったのか冬至にはあまり見る事がありません。

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冬至のかぼちゃ食べ方

「かぼちゃはどんな食べ方でも問題はない」

冬至にかぼちゃを食べると風邪等の病気になりにくく、かぼちゃの代表的な栄養
カロテンは老化を防ぎやすいだけではなく冬になりやすい肌の乾燥、痒みを伴う
かさつきの予防をしてくれます。

そしてかぼちゃには運を呼び込む、運を引き寄せる準備に欠かすことができない
食べ物だとも言われています。

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冬至にかぼちゃを食べる事に意味があるので基本的にはどんな食べ方でも問題は
ありません。実は冬至にかぼちゃを食べていなかった私は、冬至にかぼちゃを
食べる事の大切さを知り、今年は必ず冬至にかぼちゃを食べようと思っています。

そして調べて知った不思議不動院(ふしぎふどういん)のかぼちゃ供養
関西に住んでいる私は不思議不動院(ふしぎふどういん)のかぼちゃを
どうしても食べたくてなってしまいました。

今年は冬至に自分でかぼちゃを作ると同時に不思議不動院(ふしぎふどういん)
にも行ければと思っています。

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