5月5日は「端午の節句」1948年(昭和23年)には
「こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する」として
国民の祝日「子供の日」になります。
その時にあげるのが「こいのぼり」
こいのぼりを飾るのは
子供の健やかな「成長」「健康」「繁栄」「出世」を願い揚げられます。
こいのぼりの「鯉」
5月5日「端午の節句」は中国と日本の似たような風習が合わさった事から始まります。
◎中国の伝説「鯉(こい)」
中国には激流「龍門(りゅうもん)」があり、登り切った魚は霊の力や不思議な力が
宿り竜(龍)になると言われていました。
竜(龍)は中国神話の生物になり、神秘的な存在として良く使われます。
その滝に登る事が出来たのが「鯉(こい)」になり、中国から伝わった伝説から
日本でも「鯉の滝登り」と言われ
滝に上る生命力があればどんな場所でも生きていける
どんなに辛いことも困難な事も乗り飾りには切る事が出来る「立身出世」の意味が
込められ使われるようになります。
日本の登竜門(とうりゅうもん)そこを通ると必ず出世すると言われる道は
中国の激流になる龍門(りゅうもん)からきたと言われています。
魚の鯉は水揚げをされてもバタバタする事がない様子から
「潔い」「勇ましい」魚と言われ、男児の行事向きの魚である事と
中国伝説・鯉の様子からこいのぼりに「鯉(こい)」を描くようになります。
鯉の色や数
もともとは真鯉(黒い鯉)だけを飾っていました。
男児をお祝いする行事だったことから真鯉(黒い鯉)を男児として飾っていたの
ですが
明治時代に入り真鯉(黒い鯉)と緋鯉(ひごい)がセットになります。
青色の緋鯉(ひごい)が加えられ、真鯉(黒い鯉)は父親、緋鯉(ひごい)は子
供を表すようになります。
昭和20年以降には真鯉(黒い鯉)と緋鯉(ひごい)に子鯉(こごい)が加わり
こいのぼりは家族を表すようになります。
真鯉(黒い鯉)は父親、赤色の緋鯉(ひごい)は母親、青色で子鯉(こごい)の
子供表現しています。
現在では緑、紫、オレンジの色も加わり子鯉(こごい)がどんどん増えています。
こいのぼりは上から
▪ポールの先にはカラカラ音が鳴る物
▪一番上にあるひらひらした物
▪鯉
これらを一式として飾られます。鯉以外の飾りは中国から伝わった伝説
滝に登る事ができた「鯉(こい)」に関係しています。
滝に挑戦をした鯉は「竜(龍)」になりたかったのですが
滝を登りってしまった時に竜(龍)に食べられてしまうかもしれないと思い
竜(龍)が苦手としている鉄矢と五色の糸を用意して登りました。
鯉が登りきるために必要であった鉄矢は棒の先でカラカラ回る物「矢車(やぐるま)」
五色の糸は「五色の吹き流し」と子供たちを守る「魔除け」になります。
カラカラ音が鳴る物「矢車(やぐるま)」
ポールの先に付いている豪華なカラカラ鳴るものは「矢車(やぐるま)」
鯉にとっては竜(龍)に食べられないために必要だったのですが、こいのぼりの
時にも矢車(やぐるま)を飾るようになったのは「招代(おきしろ)」の変わり
飾られます。
日本では全ての物には神や魂が宿ると考えられています。
「物を大切にする」日本人の美しい心のはじまりでもあります。
縁のあるものや象徴となるもの(特に中が空洞の物)には神が下りて来て力を及ぼ
すと考えられてしました。それを「依り代(よりしろ)」と言います。
その依り代(よりしろ)に対して神や魂を迎え入れるのが「招代(おきしろ)」
ポールの先には神や魂を迎え入れるように飾られるようになります。
しかしこいのぼりを飾るようになった頃は全ての人が招代(おきしろ)を飾る事は
出来ませんでした。
一番上にあるひらひらした物「吹き流し」
江戸時代に武家から広がり始めた「こいのぼり」
階級がとても厳しい時代になり、武家や庶民の立場の違いだけではなく武家の中で
も階級の高い人にしか「招代(おきしろ)」を飾る事は許されませんでした。
端午の節句をお祝いする時「招代(おきしろ)」を飾る変わりに
風になびき、目立つ事が出来るひらひらした物「吹き流し」を飾ります。
もともと吹き流しは旗の仲間になり風の方向や強さを見るために使われています。
招代(おきしろ)の変わりに吹き流しを飾る事で旗の役目だけではなく
見栄えと5色の吹き出しで意味を持たせ使われます。
日本の「暦」にかかわりの多い陰陽五行思想(いんようごぎょうしそう)
自然哲学の考えである全ての物を5種類の元素からなる五行説(ごぎょうせつ)
五行説(ごぎょうせつ)には各色があてはめられ、その5色を使い吹き流しを飾ります。
「木(青)・火(赤)・土(黄)・金(白)・水(黒)」
組み合わせは神社で使われている「五色絹」と同じになります。
「五色絹」では青は緑、黒は紫で表現される場合が多くなります。
五色が揃うと「魔除け」に威力を発揮すると言われています。
◎「吹き流し」が「こいのぼり」
鯉の形の物を飾られるようになる前は吹き流しに鯉を描いて揚げられていたと言う事です。
今でも昔を真似て「吹き流し」に「竜(龍)」が描かれているものもあるのですが
正式な物は「五色の吹き流し」になります。
招代(おきしろ)から矢車
招代(おきしろ)を飾る事が出来ないので吹き流しを飾っていたのですが、
棒の先には何かを付けるべきだと考え
「お榊(さかき)」や「杉の葉」、「柏の葉」を先に飾ります。
しかし「お榊(さかき)」や「杉の葉」、「柏の葉」はとても地味に仕上がり
地方で「駕籠玉(かごだま)」を飾るようになります。
「幸」や「福」が入りますようにと言う意味から籠を丸くして天に向けて飾り
飾り始めた頃はかごの中に「お榊(さかき)」や「杉の葉」を入れていたのですが
その後に金箔をはり飾るようになります。
金箔をはった豪華で目立つ「駕籠玉(かごだま)」はあっという間に広がります。
その後には武将の持つ弓矢をイメージして矢の羽で作った2つの車輪を左右に飾り
中心に中が空洞の「回転球」を飾ようになりました。
「回転球」は「駕籠玉(かごだま)」の名残りになります。
矢の羽の車輪と回転球での矢車(やぐるま)は、当初木材や竹で作られていている事
から腐りやすく手入れもとても大変なものであったため現在のような素材で作られる
ようになります。
こいのぼりとは
歯車はカラカラと言う音・豪華さ「神様への目印」
吹き出しは守られた場所、家族の大切な場所になる「家」
こいのぼりは「家族」
神様が見守り、安心出来る場所、守るべき家族を表現しているように感じます。
龍は日本でもお寺や神社の天井に描かれている事があり、少し怖い雰囲気があります
がすべての人を見守っていると言われています。