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シナモンとニッキの違いは 同じじゃない違いには

2015年7月27日


シナモンとニッキ、少し違うように感じるけれど、基本的には同じものだと思っている人
も多いかもしれません。
実際同じものと思われがちなシナモンとニッキ。実は微妙な違いがありました。

・シナモンロールやシナモン・ティーに使われているのは「シナモン」
・八ツ橋などの日本のお菓子に使われていることが多いのは「ニッキ」

似ているようで、似ていない「シナモン」と「ニッキ」違いを説明できる人は少ないので
はないでしょうか?日本でも一般的になりつつある「シナモン」昔からのお菓子で使わ
れる「ニッキ」違いを具体的にご紹介します。

ニッキとは

そもそも、ニッキとは何でしょうか?

ニッキは、クスノキ科の樹木であるニッケイ(漢字では肉桂)の根を乾燥させて、
すり潰してできるスパイス、香辛料です。
ニッキという名称はこのニッケイから由来するとも言われています。

ニッキの利用法は

・料理
・お菓子

発汗・解熱作用もあることから

・生薬
・漢方薬

幅広く利用されています。

料理やお菓子に使う際にはニッキ飴を溶かしてコーヒーやお菓子の生地に入れたり、
ニッキの葉で餡子餅を包む、ニッキの葉を焼酎に漬けてお酒にするといった使い方を
します。

シナモンとは

それでは「シナモン」はどんなものなのでしょうか。

シナモンは、ニッキと同じくクスノキ科の樹木であるニッケイの樹皮を乾燥させ、それを
すり潰してできる最古のスパイスと言われています。

シナモンの利用法は

・料理
・お菓子
・カクテル
・コーヒー
・お茶

ニッキと同じような発汗・解熱作用の効能を持つため

・漢方

ニッキと同じような使われ方をします。
樹皮を乾燥させ棒状したものは「シナモンスティック」、そのシナモンスティックを粉状
にしたのが「シナモンパウダー」

料理やお菓子に使う際には、シナモンパウダーをミルクティーやお菓子・パンの生地に
入れたり、シナモンスティックをホットワインに入れる、シナモンの葉をカレーに入れて
風味を出すといった使い方をします。

ニッキとシナモンの違い

さて、ここまで見てきてわかるようにニッキとシナモンは同じクスノキ科のニッケイとい
う樹木から抽出されたスパイス、香辛料であることに違いはなさそうです。

では、一体何が違うのでしょうか?

原産国・種類の違い

まず1つ目は、原産国・種類の違いです。

・日本産のニッケイを原料として作られたものが「ニッキ」
・スリランカ産のニッケイを原料として作られたものが「シナモン」

そして原産国が違うということは樹木の種類も少し異なります。

・日本産のニッケイは「シナニッケイ」
・スリランカ産のニッケイは「セイロンニッケイ」

シナニッケイが日本にやってきたのは意外に最近のことで、江戸時代と言われています。
日本には、このシナニッケイとは別に野山のあちこちに咲いている同じクスノキ科のヤ
ブニッケイという樹木もありますが、含まれる香りはニッケイの半分ほど。

また、他にも中国やベトナム産などのニッケイを原料として作られるカシアという種類が
あります。しかし、カシアの多くが「シナモン」の名で出回っています。

シナモンを購入する時によく目にするスリランカ産「セイロン」中国やベトナム産の
「カシア」
作る工程の違いからスリランカ産「セイロン」の方が味も香りもマイルドです。

樹木の使う部分の違い

2つ目の違いは、樹木の使う場所が違います。
ニッキは抽出する原料としてニッケイの根を使用するのに対して、シナモンはニッケイ
の樹皮を使用します。

・ニッキはニッケイの「根」
・シナモンはニッケイの「樹皮」

風味や味・見た目が似ていながらも少しずつ違うのは、こういった原料の違いがあったか
らなのですね。

ニッキとシナモンそしてハッカとの違い

続いてハッカ飴やハッカ油で知られるハッカとの違いについてです。
香りや味に違いはあるけれど、ニッキやシナモンと近いようなイメージがあるので同じよ
うに感じるハッカ。
実はニッキやシナモンと同じなのか、やっぱり全く違うものなのでしょうか。

ハッカとは

ハッカとは、シソ科の多年草であるハッカの葉を乾燥させて作られるもの。
スーッとするメントールという成分を含んでいます。

メントールには殺菌・抗菌・血行促進など様々な効能があることから、生薬として、またカ
ビ予防・風邪予防・消臭・虫よけなど多様な用途に使われてきました。

ハッカとの違い

ハッカとニッキ、シナモンは、様々な効能を持ち薬として使用されてきたという点では
同じですが、風味・匂い・原料ともに異なります。

ハッカは、シソ科の多年草でありその葉から抽出されたものであるのに対して、ニッキ
は樹木の根から、シナモンは樹木の樹皮から抽出されたものです。

・ハッカはシソ科の多年草、その葉から抽出されたもの
・ニッキは樹木の根
・シナモンは樹木の樹皮

ハッカは、ニッキやシナモンのような粉状、ふりかけるという使い方がほとんどないの
も納得です。

続いて、日本のお菓子とニッキについてご紹介します。
最初にニッキとシナモンのお菓子になると必ず登場する

八ツ橋

言わずと知れた京都のお土産八ツ橋は、米粉や砂糖と一緒にニッキを混ぜて焼いた
お菓子です。

ニッキ飴をあまり食べたことがない世代では、八ツ橋を食べて初めてニッキの味を知っ
たという方もいるのではないでしょうか?

一見お菓子としては米粉と砂糖があればじゅうぶんに見えますが、
なぜニッキを入れたのでしょうか?

このニッキさえなければ、もっと美味しく食べられるのにと思う人もいるはずです。

ニッキは八ツ橋の香り付けとして使われたのですが、同時にニッキの持つ抗菌作用も
当時は重宝されたためだとも言われています。

八ツ橋にはニッケイの樹皮の粉末が、生八ツ橋には生地の色を白く保つためにニッケイ
の油が使用されています。

ケセン団子

ケセン団子をご存知でしょうか?聞いたことがないという人も多いと思いますが、鹿児島
の中では一般的に知られているお菓子でニッキの葉に包んであるのが特徴です。
小豆のやさしい甘さにニッキがふんわりと香ります。

なぜ小豆の団子にニッキの葉を巻いたのでしょうか?ニッケイの木は、鹿児島ではどこの
家庭の庭先にもあるような、馴染みのある木でした。

鹿児島は気温が高くお菓子が傷みやすかったことから、殺菌効果のあるニッキの葉を使
用するようになったといいます。

ニッキ飴

ニッキ飴は、ニッキ特有の痺れる味が特徴の昔ながらのお菓子です。飴は古代ごろから
伝わる日本でも古いお菓子。江戸時代には、水飴のような飴から現在の固形の飴が作ら
れます。

ちょうどその頃やってきたシナニッケイ、ニッキとして香りづけ、刺激的な味、そして
効能、飴として使いやすかったのかもしれません。

現代の若い世代は知らない人の方が多いかもしれませんが、ニッキ特有の痺れるような
味の飴から、少し風味を抑えたマイルドな味のニッキ飴まで色々と種類があるようなので
食べ比べてみてくださいね。

ニッキ・シナモンの匂い

ニッキとシナモンは、どちらも甘く独特な香りが特徴的ですが、シナモンの方がよりその
甘さが強い傾向があります。
シナモンの樹皮に含まれるオイゲノールという成分がその甘さを作り出しています。

ニッキ・シナモンの味

ニッキは、甘い香りに加えて口に入れると痺れるような辛さも併せ持つスパイスなのに対
して、シナモンはその辛さがありません。

また、匂いはとても甘い香りのするシナモンですが、風味は甘くないので香り付けとして
大活躍します。

今回は、ニッキとシナモンは同じものではなく、原料やその原産地、匂いや風味も少しずつ
異なることを紹介してきました。

ニッキは日本産の樹木ニッケイの根から抽出されたものであり、シナモンはスリランカ産の
樹木ニッケイの樹皮から抽出されたものでした。

効能はどちらも生薬や漢方として使用されてきましたが、ニッキの方が風味は辛く、シナモ
ンの方がより甘い匂いがするなど多少の違いが見られました。

ニッキやシナモンが、生薬や漢方薬として使われてきたとは驚きです。効能やそれぞれの
違いがわかると、健康促進や料理、お菓子作りの際にも役に立ちそうです。
ぜひ参考にしてみてください。

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