餅は他の食べ物を比べてもカビが発生しやすい食べ物です。
「楽しみしていた餅を食べようと思ったらカビが発生していた」という経験がある人も
多いと思います。
そんな時にどのように対処すればよいのか・・・
目の前の餅を見てそう悩んだ人も多いでしょう。
また、食べた後にカビが発生した餅を食べてしまったことに気がついて、身体に悪影響は
ないだろうかと心配になったことがある人もいると思います。
そこで、ここでは餅に発生するカビの種類や特徴について紹介し、仮にカビのついた餅を
食べたらどうなってしまうのかについて紹介します。
そして、餅にカビが発生していた時の対処方法やカビの予防方法についても紹介します。
餅のカビを食べたらどうなるの?
餅にカビが付いたまま食べた場合どうなってしまうのだろうと心配になる人もいると思い
ますが、少量のカビであれば胃酸で死滅するケースがほとんどなので、食べた後に特に症
状が出ない場合は、特に心配する必要はないでしょう。
だからといって、餅のカビは気にする必要はないというわけではありません。
カビの菌種のなかには、食中毒の原因になる菌種や肝臓がんの原因になる菌種、アレル
ギーや喘息の原因になる菌種などもあります。
食中毒になると、発熱、下痢、嘔吐などの症状がでます。
こうした症状が出た場合は脱水症状になりやすくなるので、水分補給をしっかりとおこな
いましょう。また、症状がひどい場合は病院を受診しましょう。
餅のカビの種類や特徴
餅に発生するカビにはいろいろな種類があって、それぞれに特徴があります。
アオカビ
アオカビはペニシリウムと言われるカビで、餅以外にもパンや果物にもよく発生します。
また、食べ物だけではなく押し入れや靴などにもよく発生するカビです。
アオカビは他のカビと比べても耐寒性があって乾燥にも強いのが特徴です。
こうした特徴があることから冷蔵庫の中でも発生します。
アオカビの菌種は150種類もあって、なかには抗生物質のペニシリンやチーズの製造など
に使用されるような有益な菌種もあります。
しかし、肝臓に悪影響を及ぼすような有害な菌種もあります。
クロカビ
クロカビはクラドスポリウムというカビです。
元々は土壌にあるカビですが、風によって空気中にたくさん飛散しています。
湿気を好むため台所や浴室など水周りに多くみられ、他には壁や畳にも多く発生しアレル
ギーや喘息につながる可能性があります。
アカカビ
アカカビはフザリウムというカビです。
アカカビという名のような赤い色の他にも、赤紫、ピンク、白、黄色、褐色、オレンジと
いった色のアカカビもあります。
アカカビはクロカビと同じように土壌にあるカビで、麦やトウモロコシなどの農作物の病
原菌にもなっています。
湿度を好むため、水周りなど湿気の多い場所によく発生します。
アカカビには食中毒の原因になるトリコトセンといわれるカビ毒があります。
シロカビ
シロカビはコウジカビといわれるカビです。
シロカビと言われている通り、白いカビになるので、餅に付着していても発見しにくいの
で注意する必要があります。
コウジカビは乾燥に強く、壁や畳などでよく発生します。
コウジカビの菌種は150種類くらいあって、そのなかには醤油や清酒などの醸造に使用さ
れる有益な菌種もあります。しかし、肝臓がんの原因につながるアフラトキシンというカ
ビ毒を作り出す菌種もあります。
餅にカビがあった場合の対処法
熱を加えたら大丈夫?
仮にカビがあったとしても熱を加えて食べたら大丈夫だろうと考える人もいると思います。
たしかに多くの種類のカビは60度以上で10分以上加熱すると死滅します。
しかし、カビのなかには100度以上で長時間加熱しても死滅しないものも存在します。
また、カビを死滅させることができた場合でも、カビの毒性は残ってしまいます。
こうしたことから、カビがあっても焼いたり、煮たりして加熱処理をすればいいわけでは
ないということが言えます。
カビの部分を削って食べれば大丈夫?
「餅にカビが生えていても、カビの部分だけ削り取って食べたら問題ない」
昔はよく言われていましたし、現在でもそのようにして食べている家庭もあるかもしれません。
しかし、カビは繁殖する際に餅の内部の養分を摂取するために菌糸を根が張るように広げて
います。
そのことから表面を削ってカビが見えなくなったとしても、目には見えない菌糸が残っている
可能性があります。
餅のカビの菌糸は3、4センチくらい削りとれば、取り除ける可能性が高いと言われていま
すが、実際餅を3、4センチも削ったら食べる部分はほとんど無くなってしまいますし、仮
に残ったとしても菌糸が残っている可能性もゼロではありません。
こうした点からも、カビを削り取って食べるのはおすすめできません。
餅のカビ
カビが発生していたら食べるのを控える
カビが発生している餅を食べてしまうと、必ず体に悪影響を及ぼすというわけではないの
で、これまで加熱したり、カビの部分を取り除いて食べたりして何の問題もなかったとい
う人もたくさんいると思います。
しかし、食中毒の原因となるようなカビ毒をつくるようなカビを摂取してしまう可能性も
あるので、カビを見つけたら、もったいないですが食べるのは控えるべきです。
餅のカビ防止方法
これまで紹介したように
「カビが発生しまった餅は食べない方がいい」
という事がわかります。せっかくの餅が食べられなくなったということにならないために
も、しっかりと防止することが大切です。そこで、ここでは餅にカビが発生しにくくなる
方法について紹介します。
冷凍保存する
餅にカビを発生させずに長期保存したい場合によく用いられる方法が冷凍保存です。
きちんと冷蔵保存すれば、1年くらいまで保存ができます。
ただし、長期保存だと味や風味はどうしても落ちてしまうので、美味しく食べるというの
であれば、1カ月以内に食べるのがおすすめです。
冷凍庫に入れる際には
餅1つ1つをラップで包んでフリーザーパックなど密閉できるものに入れて保存します。
ラップに包むときやフリーザーパックに入れる際に空気を入れないようにするのがカビ予
防のポイントです。
水餅保存する
水に浸けて保存する方法は昔からよく行われている保存方法です。
水餅保存なら1カ月から数カ月は保存ができます。
保存方法は簡単
密閉容器に餅全体が水に浸かるように入れて蓋をして冷蔵庫で保存するだけです。
ただし、浸けた水は毎日新しい水に変える必要があります。
また、水面から餅が出てしまうとカビの原因になるので注意が必要です。
わさびや辛子を活用する
わさびや辛子には殺菌作用があるので、餅と一緒に保存することでカビ予防ができます。
保存方法は
まず密閉容器にラップを敷いてその上にわさび(もしくは辛子)をのせます。
その上からラップを被せます。
その上に餅をのせて容器の蓋をして、冷蔵庫で保存します。
この方法で1カ月くらいは保存できます。
天日干しする
餅がたくさん余って1ヶ月以上保存する必要があるという場合は天日干しするのがおすすめです。
天日干しをして乾燥させれば半年から1年くらい保存ができます。
天日干しをする際
餅を薄めに切って風通しの良いところで乾燥させるのがポイントです。
天日干しで餅がカラカラになるまで乾燥させたら紙袋に入れて、湿気の少ない場所で保管します。
乾燥した餅を食べる時は、揚げ餅にしたり、焼いて醤油を塗って食べる焼餅にしたりするのがおすすめです。
アルコールを活用する
餅にカビを発生させてしまうケースで多いのが鏡餅だと思います。
そんな鏡餅のカビ予防方法としておすすめなのが殺菌作用のあるアルコールをつけることです。
アルコールをつける方法
食用アルコールを布巾などで鏡餅に塗ります。
カビは鏡餅の重なる部分に発生しやすいので、アルコールを鏡餅に塗る時は、鏡餅が重な
る部分をしっかり塗るのがポイントです。
また、食用アルコールの代わりに日本酒や焼酎も使用できます。
餅の臭いにも注意
餅を食べる時にカビだけではなく臭いにも注意が必要です。
パッと見た感じではカビは見当たらないけど何か臭いということは意外とあります。
その原因が冷蔵庫内の臭いが付いた場合であれば、湯通しすると臭いがとれるので問題
ありません。
しかし、湯通ししても臭いがとれない場合はカビが原因の可能性があります。
パッと見た感じではカビは見当たらないけど臭いという場合は、よく見てみると餅の色に
よく似ているシロカビが付着していることもありますし、肉眼では確認するのが難しい小
さなカビの胞子が付着していることもあります。
餅に付いたカビを食べたらどうなるかについてや、餅のカビの対処方法、予防方法などに
ついて紹介しました。
こちらで紹介したように、カビが発生してしまった餅は加熱したり、カビの部分だけとっ
たりしても食べるのは、健康面から考えておすすめできないので、これまで食べたことあ
るけど大丈夫だったという人も食べないようにしましょう。
また、カビが発生してせっかくの餅が無駄になってしまわないようにきちんと保存して予
防することが大切です。よく餅を食べるという人や、餅つき大会をおこなう時や鏡餅を飾
る時などは参考にしてみてください。